ブー・イナニア・マドラサ
14世紀にブー・イナニア王によって建てられたマリーン朝最大の神学校です。
木の扉から中に入ると、大理石を敷き詰めた中庭に出ます。中央にある水盤は学生が授業やお祈りの前に身を清めるために使用していました。
建物は2階建てで1階は教室及び礼拝所として、2階は学生の寄宿舎として使われました。
壁面には彫刻された繊細な幾何学模様や素晴しいタイルのモザイクを見ることが出来ます。
Amine
ブー・イナニア・マドラサにはこんな物語があります。
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神学校を作る前、この場所はゴミ捨て場でした。
14世紀、当時の王様はよく一般人に変装し、民の暮らしを確認していました。
そんなある日、王様はとても美しい女性に出会います。その女性は売春婦でした。
彼女に一目惚れした王様は彼女と結婚しましたが、彼女の過去をよく思わない人々が多くいました。
王様はいつも通り一般人に紛れて旧市街に繰り出し、人々の話に耳を傾けていたところ、多くの不満が聞こえてきたのです。
そこでゴミ捨て場に変えてモスクを造るというアイデアが生まれました。
誰もが避けるゴミ捨て場を美しいマドラサに変えたことで、皆マドラサが大好きになり民の憩いの場となりました。
そして、マドラサを作ってもらった彼女自身もとても努力家でした。
貧しい家庭に生まれた彼女は生きていくために売春婦にならざるをえませんでしたが、本意ではありませんでした。
王様と結婚した後、生まれ変わるべく必死に勉強して科学者になりました。
そしてついに女性のイスラム教の聖職者のような立場を確立することが出来たのです。
王様の愛と女性の努力が実を結び、多くの方々に認められるようになりました。
のちに、複数のゴミ捨て場がモスクへ生まれ変わったといわれています。